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2007年5月29日 (火)

医療崩壊と新自由主義

キーワード
医療崩壊、新自由主義、格差社会、貧困、規制緩和、民営化、小さな政府、市場原理主義、グローバリゼーション、ワーキングプア、サッチャー、レーガン、小泉改革、竹中平蔵

先の記事、医療崩壊の元凶で、医療崩壊は歴史の流れ、歴史の必然と書いたが、その流れとは何かについて、私などよりも遥かに優れた論者によるコメントを拝見することができた。

その流れとは、一つには新自由主義の流れである。英国で、米国で、そして近年の日本である。他の流れとしては、米国による属国化政策、日本人の価値観や倫理観などをこれまでに示した。こういったいくつもの時代の流れが絡み合って表出した問題点の一つが、医療崩壊であろう。

某巨大掲示板より。各コメントの発言順序はよく分からないが以下に参照させて頂く。

---------- 以下引用 ----------

1 今までのように、富を分散させて内需を増やすのではなく、資金の潤沢な一部の投資層に集めて、政府に代わって効率的投資をさせる。
2 大部分の市民は中流より下の所得層にして、労働コストを下げる。
3 1と2により投資効率を最大にする。格差は結果的にできるのでなくて、意識的に作り出される。その方がコストのかからない企業経営・投資活動ができる。「痛みを伴う改革=所得を下げる」というのが真の意味です。
4 高等教育は一部だけでよく、大部分は、低学歴でも従順ならそれでよく、独創的なアイデアや知的能力は一部裕福階層に期待する。奨学金カットもその政策の一環です。一般市民は、愚鈍であっても従順であるなら問題なし。
5 階層は基本的に「固定」し、コストをかけて階層間流動を行わない。なぜなら非効率だから。経済扶助は基本的になくす。それが「ゆとり教育」の真の目的です。
6 競争力のない企業は潰す。但し金融は経済・金融の心臓なのでメガバンクとして強化する。

そうすると安倍総理が「再チャレンジ」を総裁選で打ち出しながら、早くも取り下げちゃったのも当たり前といえば当たり前です。再チャレンジは効率最優先の新自由主義にあっては非効率そのものだし、「コストが高くなる」ことで不要だし実のところ新自由主義にとって悪だから。「階層間で流動化」させようとしたら、社会的コストが大きすぎと。

投資にとって非効率的なことを全てカットするのが「改革」である以上、「身体障害者」「社会的弱者」「老人」は、政府がコストをかけて、守る対象でもなんでもないということです。小泉・安部にかぎらず、新自由主義改革の核心は、富の再配分機能の否定であり、「痛みを伴う改革」をやめないかぎり分配は永久にないということです。

ここで私が疑問に思ったのは、それでは内需が激減して、大不景気となり、商品を誰が購買するの?(=総所得=総需要の低下)ということです。裕福層も資産デフレがおき、再投資できないではないか?

答えは貿易依存度の予想グラフでした。2年前GDPの10%だった貿易依存度は現在は16%に増え、このままいくと2010年には30-40%に達しそうです。十分内需減少をカバーできます。つまり、国民は低賃金で働き輸出で稼ぎ、裕福層はどんどん資産が増加し、効率的再投資ができるという事です。

そう考えると、厚労省の医療政策も労働政策(WEなど)もその一環で当たり前であり、国策の一部である以上、医療だけ特別扱いというのは不可能なわけです。医療政策はどれだけ患者が騒ごうが、医師が苦情を言おうが、変わりません。もう、日本の未来はもう決定済みなのです・・・

---------- 以上引用 ----------

別の一節を参照させて頂く。

---------- 以下引用 ----------

日本政府は「官から民へ」「民間でできる事は民間に任せる」というように、いわゆる「小さな政府」を目指しています。先祖帰りといえばそうなのですが、違うのは「富の再分配の否定」「効率最優先」「政府部門の民間への解放(何でも市場化)」という事です。

なんら利益を生み出さない、医療・介護・福祉など、政府から見たら非効率の極みの、「大きな政府」の政策であり、切り捨てて個人の自己責任に帰するようにするのは当然なのです。そして、古典的な「小さな政府」と違って、巨大資本である金融機関・保険会社が、政府に変わって「福祉市場」を支配するのを認める事です。

低医療費政策はそのため行なわれているのであり、単独の政策ではなく、政府の大きな政策の一部でしかないのです。これだけを変える事はできないのです。

---------- 以上引用 ----------

また、いつも拝見し勉強させて頂いている新小児科医のつぶやきの 2007 年 4 月 18 日の記事、小ネタに嘆息のコメント欄のご意見も大変参考になる。

これらの卓見を披露された論者は、以外と私に近いところにいらっしゃるのかもしれない。

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階層が固定化された社会を米国に既に見ることができる。

デイヴィッド・K・シプラー著、森岡孝二・川人博・肥田美佐子訳、ワーキング・プア アメリカの下層社会の小西聖子氏による書評、毎日新聞 2007.5.27 今週の本棚より。

---------- 以下引用 ----------

家族が仕事で忙しいために、また気力がもてないために、どうやって関わってよいかわからないために、子どもへのケアやしつけが放棄される。虐待やネグレクトが高頻度でおこる。子どもは対人関係も生活の技術も学ぶことなく、いつ暴力を振るわれるか分からない環境で大人になるが、そのような状況で、満足な安定した仕事につけるわけはない。貧困は、家庭の中でも弱者である子どもに強い圧迫を加え、それが次世代にも大きな影響を及ぼし、貧困の継続が生じる。

---------- 以上引用 ----------

新自由主義の次に望まれる社会のあり方について、左派の人の考え方であるが、問題点を論じているものを見つけた。

新自由主義こえる「第三の道」 「結果の平等」ではなく「機会の平等」をめざす
北海道大学大学院教授 山口二郎さんに聞く(下)
http://www.bund.org/interview/20060225-1.htm
より。

---------- 以下引用 ----------

グローバリゼーションの中で生きていけるような企業がある程度自由に活動できる環境、それから質の高い労働力。こういった面の条件整備は是非とも必要だと思いますね。ただし、なんでもかんでも企業の自由に任せてしまうと、今の日本のように営利第一主義の問題が起きてきます。やはり最大限「人間の尊厳」や「機会の平等」といった価値を守る必要はあるわけです。

求められていることは、「結果の平等」に傾斜してきた従来のヨーロッパの福祉国家の政策体系を、「機会の平等」を中心に組み換えていくことです。なるべく低コストで福祉国家の理念・人間の基本的平等という理念を実現していく。それが21世紀の新たな社会民主主義が課題とすべきことでしょう。

.....

北欧は北欧で、スウェーデンにしてもフィンランドにしても、けっこう上手くやっていると思います。国民負担は非常に重いのですが、様々な社会サービスはとても充実しています。だから国民も重い負担に納得しているわけです。また北欧には世界的な企業がいくつも存在し、国民の教育水準も高い。

実はイギリス労働党は、こうした北欧から学んでいるわけです。理念としていえば、福祉を貧困からの脱却の手段とするのではなくて、働くことによって貧困から脱却していくという理念です。働ける能力を高めることこそ福祉の目的だという「ウェルフェア・トゥー・ワーク(福祉から労働へ)」という考え方を、ブレア政権は北欧から学んだわけです。

今までの水準でいえば日本は、米国と並ぶ小さな政府の国でした。それをいきなり北欧型福祉国家へと飛躍させるのはたぶん無理だと思います。とりあえずイギリスぐらいの水準まで国民負担を引きあげて、もう少しましな教育や社会保障を実現していく。それは今直ぐにでも可能です。教育であれ医療であれ、ベーシックなサービスをきちんと公的に保障する体制を整備していくべきです。

医療に関して言えば、すでに日本は立派な医療制度を持っています。ところが小泉はそれをどんどん解体しようとしている。社会保障サービスをこれ以上解体していくと、国民はみんな萎縮してしまい、社会の活気がどんどんなくなっていってしまいますよ。そうした悪循環を断ち切るために、小泉改革をストップさせる必要があるわけです。

---------- 以上引用 ----------

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過去記事、参考資料

医療崩壊の元凶 http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2007/05/post_a86b.html

医療崩壊と新自由主義資料 3 http://sword.txt-nifty.com/library/2007/05/3_dcab.html
医療崩壊と新自由主義資料 2 http://sword.txt-nifty.com/library/2007/05/2_4899.html
医療崩壊と新自由主義資料 http://sword.txt-nifty.com/library/2007/05/post_09d8.html

道標主人 | 2007-05-29 00:02 | 医療、社会保障, 医療崩壊, 経済・政治・国際 | | コメント (0) | トラックバック (2) | Top

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