髄液減少症
キーワード
脳脊髄液減少症、低髄液圧症候群、交通事故、賠償医学
存在を否定はしないが、現在の混乱は、しばらくは静観するしかない。
脳脊髄液は、成人で約 150ml ほどあり、1 日の産生量は約 500ml 程度と言われている。1 日に 3 - 4 回、入れ替わるほどの量が産生され、また、吸収される。
髄液圧は、側臥位、腰椎穿刺で測定して 5 - 15 cmH2O ( 水柱 ) であり、Queckenstedt テストで、髄液の交通に障害 ( 閉塞や狭窄 ) がない場合は、頚部 ( 頚静脈 ) の用手圧迫にて数 cm 水柱以上の圧変化が速やかに観察される。
当然、立位と側臥位とで、また、頭部脳室内と腰部くも膜下腔とで、髄液圧は様々に変わり得る。
生理的に、これだけダイナミックな液体の量と圧の変化が生じている系に、どういう変化が起こっているだろうか。この分野の先端の研究者らが言うような、微小な変化で、どれだけ大きな症状が発生するのだろうか。
私が懐疑的になっている項目は、現在の所は、次のようなものである。いずれ研究が進めば、これらのいくつかは解決されるだろう。
1. 頚部への軽微な衝撃で、なぜ、受傷部位より離れた尾側 ( 下位 )、多くの場合は腰椎に、髄液の漏出が発生するのだろうか。
2. 1 日に 500ml も産生される髄液が、どれだけ減少しているのだろうか。数十 ml の液が、わずかずつ、滲み出すように漏出し、漏出した液は速やかに硬膜外腔から吸収されてしまうのだろうか。逆に、硬膜外腔に 100 ml も漏出していれば、その液体の貯留そのものを MRI でとらえることができるほどではないのだろうか。
3. 脊髄手術、くも膜下腔穿刺など、様々な侵襲で脊髄硬膜には大きな穴があく。脊髄手術では、硬膜切開・開窓部を閉鎖はするが、手術後に硬膜外ドレーンに漿液の流出が続くことがある。それらもいずれは止まるし、止まらなくても量が減ればドレーンを抜いてしまう。脊髄手術後や腰椎穿刺後に頭痛が続くことは経験されるが、自然に緩解するか、経口水分摂取か輸液で緩解することが多い。ブラッドパッチを要することもあるが、少ないと言われているし、私自身は、ブラッドパッチを要した患者さんに出会ったことがない。
4. 脳槽シンチで腰椎の両側に滲み出ているアイソトープの像は、神経根嚢の姿だけではない、髄液が神経根嚢の外を流れている像なのだろうか。正常像との対比が、多数の正常例とで、なされているのだろうか。ネガティブコントロールがとれているスタディであるかということである。
5. 頚部外傷後の症状が、重症のまま長期間遷延化する患者さんは、決して多くはない。私はこれまでにお一人だけ、出会ったことがある。この病態が、軽微な外力で発生しうるものなら、もっと多くの重症の患者さんが発生しているのではないか。
6. 頚部外傷後の症状が、重症のまま長期間遷延化する患者さんの内、数千人といわず、十万人単位でこの患者さんがいらっしゃるといわれているが、それは割合とすればかなり高いのではないだろうか。重症のまま長期間遷延化する要因、それはこれまでにも研究し尽くされて来た事柄、すなわち、心理的、精神的なもの、中枢神経の疼痛に対する感受性の変化、すなわち、いわゆる慢性疼痛の症状の一表現であるもの、損害賠償が絡んでいる心身症の身体化症状、これらは実は少なく、多くは髄液減少によるものというのだろうか。
7. 脳脊髄液減少症とされているものが、圧倒的に交通事故後のものであるのは、なぜなのだろうか。ラグビー、アメリカンフットボール、スキー、モータースポーツなど、頚部の様々な重大な外傷が発生するスポーツで少ないのはなぜなのだろうか。子供のスポーツ外傷後の患者さんの報告がなされているが、特異な少数例ではないのか。
8. 不登校の児童生徒の中に潜在している可能性は否定しないが、それらを検出する方法があるのだろうか。器質的異常に救いを見出し、学校家庭などの問題が隠蔽されてしまうことはないのだろうか。
9. 髄液減少症の暫定診断ガイドラインで挙げられている症状を見ると、抑うつ状態や慢性疼痛、こじれた損害賠償などで見られるものとの差が分からない。非特異的である。
10. 特定非営利活動法人 鞭打ち症患者支援協会の中井宏代表理事、川野忠昭理事両人のお名前で Google 検索して出てくるある個人の掲示板を見る。またこの疾患を政府レベルで取り上げ、厚生労働省で研究を進めるように働きかけている脳神経外科医、渡辺孝男参議院議員。私が及びつかない人たちの繋がりである。
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共同通信 2006.11.20
保険外治療で診療報酬受給 髄液減少で名古屋市大病院
交通事故などに遭った後、頭痛やしびれなどの症状を引き起こす脳脊髄(せきずい)液減少症の患者に名古屋市立大病院(名古屋市瑞穂区)が健康保険の適用外の治療を行い、診療報酬を受給していたことが18日、分かった。
共同通信 2006.11.20
髄液漏れの診断に暫定指針 脳外科医グループが発表
交通事故で「頸椎(けいつい)ねんざ」などと診断された患者の中に、脳脊髄(せきずい)液(髄液)が漏れて起きる「脳脊髄液減少症(髄液漏れ)」が多数含まれる、と主張する脳外科医のグループが17日、同症の診断や治療の暫定的な指針をまとめ発表した。
共同通信 2006.11.18
不登校だと決め付ける前に、脳脊髄液減少症理解を 文科省、教師に周知図る
毎日新聞2006.1.29
脳脊髄液減少症:潜在患者10万人、国は動かないのか 鳥取でも被害者勝訴
交通事故で「脳脊髄(せきずい)液減少症」と診断された鳥取市内の男性(36)が、加害者の男性を相手取って治療費など約980万円の支払いを求めた訴訟で、鳥取地裁が今月11日、加害男性に治療費など約670万円の支払いを命じていたことが分かった。古賀輝郎裁判官は判決で「事故で発症した」と因果関係を明快に認定した。脳脊髄液減少症を巡り、被害者側勝訴が明らかになったのは2件目。潜在的な患者は国内だけで10万人以上ともいわれており、国の対策が待たれている。
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以下、参考資料
髄液減少症資料 http://sword.txt-nifty.com/library/2006/11/post_27a5.html
髄液減少症資料 2 http://sword.txt-nifty.com/library/2007/07/2_51d1.html
道標主人 | 2006-11-23 23:21 | 医学, 医療、社会保障, 経済・政治・国際 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (1) | Top
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