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2006年10月29日 (日)

逆風 / 医師の過不足 2

キーワード
医師不足、医療崩壊、医師過剰、医療費削減、医療費亡国論

医師数削減政策は、一体いつ頃から唱えられ始めたのだろうか。その経緯を調べてみた。ヨーロッパでの失業した医師の話という都市伝説は、仲村英一厚生省健康政策局長が 1989 年、参議院決算委員会で口にしている。

1969
自民党は 1985 年までに人口 10 万に対して医師は 150 人程度にすべきという方針を出した。

1970
最小限必要な医師数を人口 10 万対 150 人とし、これを 1985 年を目途に充たそうとすれば、当面ここ 4 - 5 年のうちに医科大学の入学定員を 1,700 人程度増加させ、約 6,000 人に引き上げる必要がある。

1973 年までに 17 校が新設され、医学部入学定員は 6,200 人となった。

1973
「無医大県解消構想」 いわゆる「一県一医科大学」設置を推進。

1981 年までに防衛医大を含む 18 校が新設され、定員は 8,360 人となった。

1982.7 臨時行政調査会「行政改革に関する第 3 次答申」
医療従事者について、将来の需給バランスを見通しつつ、適切な養成に努める。特に、医師については過剰を招かないよう合理的な医師養成計画を樹立する。

1982.9 閣議決定「今後における行政改革の具体化方策について」
医療従事者については、将来の需給バランスを見通しつつ養成計画の適正化に努める。特に医師及び歯科医師については、全体として過剰を招かないように配意し、適正な水準となるよう合理的な養成計画の確立について政府部内において検討を進める。

1983
「人口 10 万人対 150 人」の目標医師数の達成。

1984 厚生白書
医師数については,昭和 45 年 ( 当時人口 10 万対 127 人 ) に「昭和 60 年までに最小限度人口 10 万対 150 人の医師を確保する」という目標を策定し,これに沿って養成を進めてきた結果,一県一医大構想の実現等もあり,昭和 58 年には総数約 18 万人と推定され,人口 10 万対 152 人となった。医師数の推移を中長期的に展望すると,現状のままで推移すれば,人口 10 万対の医師数は,昭和 75 年には 210 人,昭和 100 年にはおよそ 300 人となり,その後も増加すると見込まれている(第 2-6 表)。
このようなことから,将来の医療需要の見通しを踏まえて,全体として過剰を招かないような医師・歯科医師数の適正水準について地域医療の実態等を考慮しながら検討作業を進めている。

1985 厚生白書
医師数については,昭和45年に「昭和60年までに最小限,人口10万対150人の医師を確保する」という目標を策定し,これに沿って養成が進められてきた。この結果,医師数は一県一医大構想等の実現もあり,45年には人口10万人当たり127人だったのが,55年には141人となり,更に58年には総数約18万1千人,人口10万人当たり152人となり目標を達成したものと考えられている。しかしながら,現在の医師の養成数(60年4月1日現在の医科大学・医学部入学定員は年間8,340人)を勘案すると,人口10万人当たりの医師数は,75年には220人,100年には300人となり,その後も増加すると見込まれており,今後,医師数の増加に伴う問題が憂慮される事態を迎えることが予想される。
厚生省では,医師数について長期展望に立った対策を実施するため,「将来の医師需給に関する検討委員会」を59年5月から開催し,検討を進めてきたが,同委員会は,同年11月に中間意見を取りまとめた。中間意見では,医師数について,1)医師過剰による過当競争は,必ずしも医療サービスの向上につながらないという医療の充実の視点,2)医師養成数の過剰は,卒前の医学教育及び卒後研修の密度が薄くなるという医師養成の充実の視点,3)医師の増加が医療需要を生み出す傾向も否定しきれず,医療費の不必要な増大を招きかねないし,また,医師養成には多額の国費を要する以上,必要かつ十分な医師の養成にとどめるべきであるという国民経済の視点,4)医師数の過不足の問題に直面した時に,医師数を変化させる自由度をできる限り大きくしておくという医師数の時間的推移の視点から検討を進めた結果,供給を低く抑え,需要は高く見込んだ場合でもなお,昭和75年(2000年)ですでに供給と需要が均衡し,100年(2025年)には10%の供給過剰が見込まれる(第2-13図参照)という視点から,差し当たり昭和70年を目途に医師の新規参入を最小限10%程度削減すべきであると指摘している。
厚生省においては,医師数の不足しているへき地等における医師の確保施策の充実を図る一方,文部省をはじめとする関係各方面に医師・歯科医師養成数の削減について検討を願うとともに,医師数・歯科医師数について更に検討を進めているところである。

1986.6 厚生省「将来の医師需給に関する検討委員会」最終意見
昭和 70 年を目途として医師の新規参入を最小限 10 パーセント削減すべきである。

1987.9 文部省「医学教育の改善に関する調査研究協力者会議」最終まとめ
昭和 70 年に新たに医師になる者を 10 パーセント程度抑制することを目標として、国公私立を通じ、入学者数の削減等の措置を講ずべきである。

1989 日本医師会「医師養成に関する見解」
一大学入学定員 10% 削減を提言。

1993
医学部入学定員が 7,725 人となった ( 昭和 61 年からの削減率 7.7% )。

1994 「医師需給の見直し等に関する検討委員会意見」
昭和 61 年に佐々木委員会が最終意見で要望し、大学関係者も昭和 62 年に合意した、医学部の入学定員の 10% 削減が達成できるよう、公立大学医学部をはじめ大学関係者の最大限の努力を希望する。

1998.5 厚生省「医師の需給に関する検討会」報告書
現状の医師供給体制が続けば,将来の医師需要の拡大を考慮しても,平成 29 年頃から供給が需要を上回り,平成 32 年には約 6,000 人,平成 37 年には約 14,000 人の医師が過剰になり,その後も乖離の拡大が続くものと予測している。
その上で,医師数の適正化の目標として,高齢者人口の最も多くなる平成 32 年において需給の均衡が達成され,かつその後の供給医師数と需要医師数の乖離を抑制することが可能となるよう,新規参入医師の削減を進めることとし,具体的には,削減率を次第に高め,最終的には上に述べた時期を目途に現在の新規参入者に対して概ね 10% の削減を目指すことを提言している。

1998 閣議決定
医療提供体制について、大学医学部の整理・合理化も視野に入れつつ、引き続き、医学部定員の削減に取り組む。

1999 厚生省「医師の需給に関する検討会報告書」
新規参入医師の削減を進めることを提言する。
医学部入学定員 7,705 人 ( 昭和 61 年からの削減率 7.8% )。

1999.4 文部省「21 世紀の命と健康を守る医療人の育成を目指して」
( 21 世紀医学・医療懇談会第 4 次報告 )
現在までに,入学定員が最高であった昭和 59 年当時と比較して,国公私立を合わせ,医学部においては 7.7%,歯学部においては 19.7% の削減が実施されている。

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参議院本会議 1984.7.16
浜本万三 ( 日本社会党 )
目標となった人口十万人対医師百五十人が確固たる理論的根拠があって決められたものではないと思います。現に、公的病院、保健所等の医師の充足率は極めて低く、僻地、無医地区での医師の確保も千大百人を超える外国人医師に頼っておる実態では、先進国として極めて恥ずかしいことではありませんか。この際、医療機関、診療科目の偏在解消のための適正配置とあわせてこの問題を検討すべき時期であると思うのでございます。

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1984 年、すでにこの頃から、医師過剰と医師不足、偏在が認識されていた。

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参議院決算委員会 1989.11.15
仲村英一厚生省健康政策局長
現在既に欧米諸国では人口十万対医師数が二百二十から二百三十以上の国が出てきておりますが、お医者さんが失業するという状態が出来しておるという国もあるようでございます。必ずしも厳密な数字ではございませんが、丸い数字で申し上げますと、西ドイツでは二万二千人、イタリアでは四万五千人、フランスでは千八百人、イギリス三千人というぐらいのオーダーで職がないお医者さんがおられるという情報を承知しておるところでございます。
それから、新たに医師免許を取得された方のうち、卒後の臨床研修を受ける場所がない、機会がないという西ドイツのような例もございますし、フランスの場合などは、医学部に入学いたしましても、途中で厳しくふるいをかけまして、七、八割はほかの学部へ回すというような状況もあるよ
うでございます。それからアメリカの場合などは、外国からのお医者さんの受け入れは抑制するということで、むしろこれは技術移転の問題として問題にされるという指摘もあるような状況でございます。
.....
医師の過剰といいましても、地域的な偏在でございますとか分野的な偏在とかいろいろ御指摘があるわけでございます。
.....
僻地とか救急の問題も、厚生省としては、例えば僻地中核病院に僻地で働いておるお医者さんに集まっていただいて研修をするとか、救急につきましても、専門的な研修でございますとか、脳神経外科とか麻酔とか救急医学等の研修をやるとか、いろいろのことでお医者さんの職域ができるだけ偏在することのないような形で私ども引き続きやってまいりたいと思います。

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医師数の推移
年 : 届け出医師数 : 人口 10 万対
1975 : 132,479 : 118.3
1980 : 156,235 : 133.5
1982 : 167,952 : 141.5
1984 : 181,101 : 150.6
1986 : 191,346 : 157.3
1988 : 201,658 : 164.2
1990 : 211,797 : 171.3
1992 : 219,704 : 176.5
1994 : 230,519 : 184.4
1996 : 240,908 : 191.4
1998 : 248,611 : 196.6
2000 : 255,792 : 201.5
2002 : 262,684 : 206.1
2004 : 270,371 : 211.7

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以下、参考資料、過去記事

逆風 / 医師の過不足 2 資料 http://sword.txt-nifty.com/library/2006/10/_2__484c.html

逆風 / 医師の過不足 http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2006/10/__adf5.html
逆風 / 医師の過不足資料 http://sword.txt-nifty.com/library/2006/10/__8922.html

逆風 / 医療費亡国論 http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2006/10/__4e8d.html
逆風 / 医療費亡国論資料 http://sword.txt-nifty.com/library/2006/10/__03f8.html

逃散 18 http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2006/09/_18_853a.html

道標主人 | 2006-10-29 00:37 | 医療、社会保障, 経済・政治・国際 | | コメント (0) | トラックバック (0) | Top

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